その名を口にしてはならぬ!
山魈(サンショウ)という中国の妖怪がいます(特に中国の南のほうに多く「生息」しています)。
山のなかにいる猿のような見た目の妖怪で、1本足だったりします。
留学中は「福建における山魈伝承の収集」をミッションのひとつに掲げ、調査のまねごとのようなことをしていました。今回は、福州にて採集した伝承を、ごく簡単に紹介したいと思います。
時間:2018年11月2日 場所:福州の某廟 インフォーマント:廟の管理人のおじさん
福州の某廟にいたおじさんを捕まえていきなり質問。
「おじさん、山魈って知ってます?」
すると、たちまちおじさんの顔が真っ青になり、
「その名前を口にするな!ヤツが来ちまう!」
と大慌て。
「……どういうことですか?」
いぶかしむぼくにおじさんは丁寧に解説してくれました。
「ヤツ〔山魈〕はすばしっこくてな、その名前を口にしたらすぐに悪さしにやっくるんだ。飯食うだろ?よそ見するだろ?その隙におまえさんのどんぶりのご飯はすっからかん。かわりに生ゴミがどっさり盛られてるんだ。だから俺の村〔屏南県の某村〕ではな、こうやって奴のことを表すんだ〔親指と人差し指で輪を作り、中指・薬指・小指をピンと立てた「OK」のようなサイン・下掲の写真参照〕」
「なるほど。では山魈っていうのは……」
「だからその名前を口にするんじゃねえよっ!!」
その後もおじさんに怒られつつ、山魈についてお話を色々とうかがうことができました。詳しい話は、また機会を改めて。
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